離婚にまつわるエトセトラ

離婚の基礎知識

近年、日本の離婚率は増加傾向にあります。
また、ここ20年あまりの婚姻数は増えたり減ったりしている一方、
離婚数は増えていてカップル3組あたりに1組が離婚している計算となります。
そして最近の長引く不況で失業率が上昇すると、それに伴って離婚数も増えてきています。
やはり結婚生活には「愛」も大事ですが「お金」も必要だということです。

原因

離婚の大きな要因の一つは「性格の不一致」によるものです。
裁判所の『司法統計年報 平成13年度版』によれば、離婚申立ての動機別順位(つまり離婚を考えた理由)で
もっとも多いのは夫婦ともに「性格が合わない」で、全体の半分から3分の1を占めています。

それに次ぐ理由の2位と3位は、妻からの場合「夫の暴力」「夫の異性関係」が続き、
夫からの場合「妻の異性関係」「妻の浪費」が続いています。
このデータを見て、身につまされる人も多いのではないでしょうか。

また、近年増えているのが「熟年離婚」です。

結婚後20年以上経過した子供たちも独立して、そろそろ自分も「ひとりの女」として第2の人生を歩みたい。
妻の方にはそんな気持ちもあるのでしょうか。条件がそろえば夫の退職金まで財産分与の対象となるケースもあり、
仕事ひと筋にがんばってきた現代のお父さんにとっては気の休まらない話かもしれません。

方法

現在では以下の4点の方法で離婚が進められています。

◇協議離婚
日本では、離婚の大半が協議離婚である。
夫婦は、その協議で、離婚をすることができる(第763条)。ただし協議離婚では、子供(孫)がいる場合、養育費については
夫婦間で取り決めがなされない場合が多いが、離婚給付等契約公正証書を作成すれば債務名義となる。
◇調停離婚
家庭裁判所の調停において、夫婦間に離婚の合意が成立し、これを調書に記載したときは、
離婚の判決と同一の効力(ここでは、いわゆる広義の執行力)を有する(家事審判法21条本文)。
◇審判離婚
調停が成立しない場合においても、家庭裁判所が相当と認めるときは、職権で離婚の審判をすることができ
(家事審判法24条1項前段)、2週間以内に家庭裁判所に対する異議の申立てがなければ、その審判は、
離婚の判決と同一の効力(「調停離婚」の項を参照)を有する(同法25条3項、1項)。
◇裁判離婚
協議離婚、調停離婚が成立せず、審判離婚が成されない時に、判決によって離婚すること。
 

お金について

婚姻費用分担
結婚して夫婦が生活を送っていく上で、いろいろな費用がかかります。これを婚姻費用と言います。
夫婦の間には、お互いの生活を自分の生活の一部として、相手方が自分と同じレベルの生活を続けて
いけるように扶養するという「生活保持義務」があり、夫婦はその資産、収入その他の一切の事情を考慮して
婚姻から生ずる費用を分担する義務があります。
婚姻費用の中には、日常の生活費、衣食住の費用、医療費、交際費、などのほか子どもの養育費もふくまれます。
婚姻費用分担金の請求の仕方
分担額は、夫婦間の合意で決定されるのが普通ですが、協議で決まらない場合には、家庭裁判所に
婚姻費用分担請求の調停を申し立てて決めてもらいます。合意が成立しなければ審判手続きに移行して、
審判により決めてもらえます。家庭裁判所が、その分担額を定めるにあたっては、別居にいたった事情、
夫婦関係の破綻の程度、破綻に対して当事者にどれだけ責任があるか、また当事者の収入などによっても異なってきます。

また、婚姻費用分担の命令がでたのに、支払いをしない、あるいは支払いが滞納したという場合には、
家庭裁判所が履行するように履行勧告や履行命令を出してくれます。
慰謝料
慰謝料とは、精神的な苦痛を与えた者に対する損害賠償です。離婚の場合の慰謝料は、
離婚原因である有責行為(不貞、暴力など)をした者に対する損害賠償請求です。
暴力をふるうとか、浮気をしている場合にはどちらに責任があるかは明瞭ですが、
性格の不一致、信仰上の対立、家族親族との折合いが悪いとかいう場合についてはどちらに責任があるか
という判断がむずかしく、一方に責任があるとしてもそのきっかけをつくったのは相手の態度にも原因があるのが
普通で、慰謝料の支払義務が生ずるとはいえない場合が多いと考えられます。
また、そうした場合には双方の責任の程度の割合によって慰謝料が決められます。
財産分与
婚姻中にお互いが築いた財産を清算することです。たとえ名義は一方の配偶者となっていても
他方の協力があってのことであり、潜在的に夫婦共有財産と考えられます。妻が職業を持っていた場合も、
持っていなかった場合も同様です。離婚原因がある側からも請求できます。財産分与とは、結婚中に形成した
夫婦共同財産を清算して分けることです。夫婦は共同生活をしている間、協力して一定の財産を形成しますが、
それは多くの場合、夫名義の財産とされます。しかし、夫名義の財産とされるものでも、その実質が妻の協力貢献
によって形成維持されたものについては、離婚の際に、貢献の割合に応じて清算されるのが普通です。
財産分与は当事者双方の一切の事情を考慮しますので、婚姻以前から所有する財産、あるいは相続により取得した
財産であっても、財産分与をする上で夫の所有する財産は、支払能力ということで影響を与えることも否定できません。
第三者に対する慰謝料
第三者に対する慰謝料の代表例として挙げられるのは、不倫をした相手からの慰謝料といえます。
不倫をした相手は、貞操権を侵害されて精神的苦痛を味わい、それが原因で婚姻関係が破綻し、
耐えがたい苦痛を味わった相手の配偶者に対して、その責任を負わなければなりません。
配偶者が浮気をした場合、損害をこうむった配偶者は、不貞の相手に対して婚姻関係を破壊
されたことに対しての精神的苦痛の慰謝料として損害賠償を請求することができます。
慰謝料の金額は浮気に関する個々の事情や損害の具体的程度などが考慮されて決められます。